2010年09月03日

GR315|春歌 周到

リメリック(limerick)という格調低い定型詩が英語にはあって、これはまあ、無理して和の伝統にひきつければ、小唄や都々逸のようなものだといっていい。
ミッテルヴェルクのトンネルの中では、酔っぱらった米兵たちが、「酔いどれリメリック」を次々歌っている。どれもV2ロケットの部品とのフェチィッシュな性愛をテーマにしたものだが、これを訳すのが一苦労である。


There once was a fellow named Slattery
Who was fond of the course-gyro battery.
With that 50-volt shock,
What was left of his cock
Was all slimy and sloppy and spattery.

3拍子で歌っているに違いないこれを、「タラッタ ラッタラッタ」の春歌のリズムに翻訳するのもわびしいが、何もしないよりはましだと思って、日本人ならすぐにノレるであろう、こんな訳詞をつくってみた。

 蓄電池に目のないスラッテリーってのが
 ネンネした相手がコースジャイロ・バッテリー
 五十ボルトにビリビリしたら
 お股ぐんにゃり、ベットリー

最初の「蓄電池」は「ドンブリ鉢」みたいに早口で入る。全体に「ステテコ、シャンシャン」のリズムである。
「ベットリー」はさすがに気分悪いが、英語の3つの形容詞に比べれば、これでも迫力たりません。

固有名詞をそのままに、脚韻だけはちゃんと踏まえて、テーマを変えず、下品さを保つ。それだけできればいいと割り切るしかない。
もう一作。こちら、原詞の後半3行は意味がない。venturi と韻をふむ jury をもってきたかったゆえのトリックでだから、日本語でも韻が楽しくきまる単語をもってくればいいと考え、超訳にさせてもらった。

There was a young fellow named Yuri,
Fucked the nozzle right up its venturi.
He had woes without cease
From his local police,
And a hell of a time with the jury.

 流体好きのユーリってのが
 つっこみました、ベンチュリ管
 パイプ、キュイっとすぼんだところが
 気持いい、いい、センズリ管
posted by ys at 08:43| Comment(0) | 『重力の虹』翻訳日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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