ミッテルヴェルクのトンネルの中では、酔っぱらった米兵たちが、「酔いどれリメリック」を次々歌っている。どれもV2ロケットの部品とのフェチィッシュな性愛をテーマにしたものだが、これを訳すのが一苦労である。
There once was a fellow named Slattery
Who was fond of the course-gyro battery.
With that 50-volt shock,
What was left of his cock
Was all slimy and sloppy and spattery.
3拍子で歌っているに違いないこれを、「タラッタ ラッタラッタ」の春歌のリズムに翻訳するのもわびしいが、何もしないよりはましだと思って、日本人ならすぐにノレるであろう、こんな訳詞をつくってみた。
蓄電池に目のないスラッテリーってのが
ネンネした相手がコースジャイロ・バッテリー
五十ボルトにビリビリしたら
お股ぐんにゃり、ベットリー
最初の「蓄電池」は「ドンブリ鉢」みたいに早口で入る。全体に「ステテコ、シャンシャン」のリズムである。
「ベットリー」はさすがに気分悪いが、英語の3つの形容詞に比べれば、これでも迫力たりません。
固有名詞をそのままに、脚韻だけはちゃんと踏まえて、テーマを変えず、下品さを保つ。それだけできればいいと割り切るしかない。
もう一作。こちら、原詞の後半3行は意味がない。venturi と韻をふむ jury をもってきたかったゆえのトリックでだから、日本語でも韻が楽しくきまる単語をもってくればいいと考え、超訳にさせてもらった。
There was a young fellow named Yuri,
Fucked the nozzle right up its venturi.
He had woes without cease
From his local police,
And a hell of a time with the jury.
流体好きのユーリってのが
つっこみました、ベンチュリ管
パイプ、キュイっとすぼんだところが
気持いい、いい、センズリ管