▽最新のムーブメントを盛り上げる(だいたいムーヴメントというのが盛り上がってないでしょ)
▽最新の音盤を紹介する(それなら別に紙媒体で読まなくてよい)
という機能はあまりどうでもよくなり、それに変わって、
◎誰でもアクセスできる数十万曲(かな?)を整理したり知識を与えたりすることが、音楽誌の役割となってきたか──というのが僕の私感。
まあ各人各様の感想があるでしょうけど、共に創刊第二号を迎えた『アルテス』と『音盤時代』の、意義ある存続を応援していきたいと思います。
『アルテス Vol.2』(Spring 2012)の特集は「アップルと音楽」で、アップル歴17年の鈴木さんとアップル歴16年の木村さんによる編集。二人とも若いなあ──と、「歴」と言えるかどうか知らないが、26年前のマックプラスなどで日本語を書いていたサトチョンは思う)。
その『アルテス』で、
輪島祐介〈連載〉「カタコト歌謡の近代」
に続いて
大和田俊之〈新連載〉「倍音と幽霊」が始まった。
細川周平編著『民謡からみた世界音楽──うたの地脈を探る』(ミネルヴァ書房、2012年3月刊行)
(これ、目次を載せているサイトが見つからない。あとでこのブログに載せよう)
という24人の共同大著では、「ブルース」という言葉の使用を19世紀黒人社会に追い求めた大和田君。こちらでは当面、アメリカン・ルーツミュージックの宝庫 Anthology of American Folk Music で有名なハリー・スミスに焦点を絞っていくらしい。
『音盤時代 no.2』は鳥取の浜田さんが、想像するに孤軍奮闘、がんばって編集しておられる。
中特集「音盤遊び」のお題が、メロディー道」
細川周平が「ゲリー・ゴフィン/キャロル・キングを聞きながら」
というのを書いて、モンキーズについて語ったりしています。
小西康陽の「メロディ・メーカーについて」は、イギリスの雑誌のことじゃなく、小西康陽をポール・マッカートニーやかまやつひろしと比較対照しながら論じているエッセイ。
僕自身は、お題の語呂「メロディ道」の語呂が気に入って、ダジャレ的に「メロディー度」なるものを、いろんな音楽について考え考えてみました。アフリカ系の非メロディ系、引きちぎりリズム・ミュージックが音楽革命をもたらしたはずの20世紀を超えてなお健在なメロディってものついて、サトチョン的パラノイア思考が始まる、
佐藤良明「メロディはなぜいつまでも強いのだろう」
も、よろしければどうぞ。
この雑誌、レコードガイドも、オタクに走らず手頃です。
中特集ではない、本来の特集で、サトチョン的にツボは、
湯浅学「不穏讃歌──ニューマンとニルソン」
でありました。