『表象05:ネゴシエーションとしてのアート』文化が国家の枠組みを越え、複数のメディアによって多元的に媒介される状況のなかで、アートと社会との関係は、どのように練り直されつつあるのか。「ネゴシエーション」をキーワードに、社会的諸力とアーティストの相互交渉を見据える本特集は、現代アートの多様な担い手を取り上げながら、美術、演劇、映画、アニメ、マンガを一望する視座を提供する。
◎特集:ネゴシエーションとしてのアート共同討議:「文化のネゴシエーションと日本――トランスメディア、トランスカルチャー、トランスネーション」
内野儀+住友文彦+ジャクリーヌ・ベルント+アレクサンダー・ツァールテン
(イントロダクション+司会=加治屋健司)
・松井みどり:「両面通行――グローバル化時代の国際展と日本の現代美術の受容」
・クレア・ビショップ:「敵対と関係性の美学」(星野太=訳)
・ボリス・グロイス:「生政治〔バイオポリティクス〕時代の芸術」(三本松倫代=訳)
・ハル・フォスター:「民族誌家〔エスノグラファ―〕としてのアーティスト」(石岡良治+星野太=訳)
◎投稿論文
石谷治寛:「理性の眠りは怪物を生みだすか?――インカ・ショニバレの船と布地」
冨山由紀子:「〈日常〉写真の静かな抵抗――下津隆之「沖縄島」を読む」
杉本章吾:〈美〉の共同体を越えて――岡崎京子『ヘルタースケルター』論
高村峰生:「接続された身体のメランコリー――ドン ・デリーロの『ボディ・アーティスト』におけるメディアの存在論」
高岡佑介:「労働科学者としてのエミール・クレペリン――「疲労との闘争」に見るドイツ産業社会の一断面」
杉山博昭:「脇役たちの「場なき場」――十五世紀フィレンツェの聖史劇より」
小澤京子:「適合性と怪物性――クロード=ニコラ・ルドゥーの建築構想における両極的性質について」
◎本格書評
郷原佳以:「あいだ」の換喩的な揺らめき〔オスキルム〕――岡田温司『
半透明の美学』
竹峰義和:変容する「ドイツ」の肖像――吉田寛『
ヴァーグナーの「ドイツ」――超政治とナショナル・アイデンティティのゆくえ』
北野圭介「三つの瓦礫と幾人かの天使――中村秀之『
瓦礫の天使たち――ベンヤミンから〈映画〉の見果てぬ夢へ』
佐藤良明:説明者の冒険――門林岳史『
ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?』
生井英考:思考の潜勢態――日高優『
現代アメリカ写真を読む――デモクラシーの眺望』
沼野充義:「遠い他者」に関わる形式を求めて――乗松亨平『
リアリズムの条件――ロシア近代文学の成立と植民地表象』
発売日、定価などは
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