2011年06月11日

平凡社の新雑誌

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表紙カット=串田孫一、というのがちょっと不思議です。昭和30年代感。
さわったときのソフトな感じは21世紀かも。

対談 北中正和 X 佐藤良明 〈「君の友だち」が40歳になって〉
 −−というのは「君の友だち」(You've Got a Friend)を20歳で聞いていた人が60歳になってということ)

発売6/18とかで、まだネットでの情報が整備されていないようですので、お披露目しておきます。
偶数月発売、840円(amazon.com 等では注文を受けているようです。)

エッセイ:堀江敏幸、池澤夏樹(次号からの連載宣言)、安野光雅、西江雅之
特集「漱石」:佐藤泉、関川夏央、木田元)
コラム:きたやまおさむ、萩尾望都、野見山暁治
:巽孝之(on Thomas Pynchon)

連載小説:諸田玲子
連載:半藤一利、一海知義、柳田邦男、森まゆみ、保坂正康、杉山正明

編集人:山本明子
発行人:坂下裕明
posted by ys at 09:09| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月03日

ポピュラー音楽研究の若手登竜門、プラス人気演歌研究者とのバトル会

今日のあしたですが、書き込むのを忘れていました。

ポピュラー音楽学会の研究活動委員会が主催して、学部/大学院で,ポピュラー音楽関係の論文を書いている人に対し、それを後押しするための発表コメント会を、例年行っています。この会は、マジにきびしい批判が飛ぶことで知られています。
今年の関東地区の会の詳細がこれ。私サトチョンも参加します。

日時:2011年6月4日(土)13:30−
会場:東京芸術大学 北千住キャンパス 音楽学部音楽環境創造科 第一講義室
地図:http://www.geidai.ac.jp/access/senju.html

発表の詳細は
http://www.jaspm.jp/meets.html
「2011年第1回関東地区例会」

■ちなにみ関西地区ではこういう会が開かれます。

輪島裕介著『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』 書評会
日時: 6月18日(土曜)16時開場〜19時終了
評者: 細川周平+長ア励朗 (応戦者:輪島裕介)
★私もフロアにいます。
会場: 関西学院大学 大阪梅田キャンパス 14階 1402号室
詳細は同じくこちら
posted by ys at 08:24| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月05日

You've Got a Friend

 平凡社の坂下さんといえば、僕にとって伴宙太のような人で(オマエ飛雄馬か?)、『ラバーソウルの弾みかた』(1989)も『J-POP進化論』(1999)も、彼なしにはできなかった。その坂下さんと、2009年にも一冊出そうねと約束しておきながら、"重力の虹獄" に落ちてしまっている。

 実は彼とのつきあいはさらに古いのであって、1979年に『ユリイカ』の短期連載でピンチョン論を書いたときも、受けてくれたのは、27歳くらいの彼だった。
 その坂下さんが、平凡社の新企画を動かしていて(6月には形になって書店に出るとのこと)、誌面に乗せる対談をとやってくれという。で、北中正和さんにもお願いすることにして、文京区白山にある会社の事務室で話してきた。
 対談のタイトルが「『君の友達』が40歳を迎えて」。「君の友達」とは、ご存知、キャロル・キング/ジェイムス・テイラーの「ユーヴ・ガッタ・フレンド」(1971)のことである。
 
  北中さんは「友達」というよりは、僕が大学時代に愛読していた『new music magazine』(旧称)に、バンバン記事を書いていた人で、その、いわば仰ぎ見ていた人と自分も対談できるまでになったのかという(いささか見当違いな)感慨を、じっさい持ってしまう相手なのだが、今日の話は、対談の内容ではない。

 資料に何かもっていこうとして、『new music magazine』1973年4月号をバッグに突っ込んだ。北中さんが新人ベット・ミドラーの紹介を書いている。「今月のうた」みたいなページには、「カリフォルニアの青い空」(It Never Rainded in Southern California)の楽譜が載っている。そんななかで、当時は反応できなかった、三井徹さんによる「新着洋書紹介」に身を乗り出してしまった。

 最後の一冊に(「この項のみ中村」という注つきで)編集長のとうようさんが John Storm Roberts の Black Music of Two Worlds を紹介している。1998年に改訂版が出て、音で学べるCDも別売されている。その本が、この、僕が大学生だったころにもう出ていて、しかも「両大陸にまたがるアフリカ系音楽を総合的に概説した初めての本」に興奮して紹介している人がいたのだ。
 
 大和田俊之『アメリカ音楽史』の終章は「南北アメリカ大陸的想像力」を話題にしている。それを、新しい視点として紹介している。でも実のところロバーツのような人は、40年前からアフリカ(サハラの南)とヨーロッパとイスラムの全体の交流史の中で、アングロ/ラテンアメリカ音楽を考えていたわけだ。その思考スケールを踏襲した、単に「国境の南」を意識するだけでない、〈南北アメリカ音楽史の授業〉を教えている人、もうこの国にいてもおかしくない。
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2011年04月27日

文学と音楽の核融合

(4月28日改稿)
 文学の定義はむずかしい。literature というからには、文字(letter)を前提としているはずだが、無文字文化にも「口承文学」というのがあるわけだし、日本の詩歌、連歌と俳諧、落語や講談というものを思い浮かべても、またアイルランドの詩文から、むかしの豊かなおはなし/うた生活を想像してみても──その伝統を受け継いでいるはずのアメリカ〈原カントリー文化〉に思いを馳せても──とにかく、文学と音楽の境目がどこにあるのか、根本的に見分けるのは不可能に近い。両者が分離しているかのような様相に、本来的な根拠はないのだと思う。
 GarageBand で子供が音楽を「書けて」しまえる今日、一方ではボブ・ディランがノーベル文学賞を噂されたりする状況下で、文字と音とは、分離の時代を生き抜いて、いま、ふたたび、制度としても、くっつこうとしているようにも思える。
 
 未来の研究者から、文学と音楽とが、日本ではいつからくっついてきたのかを調査する人が出てきたときのために、資料の一端をここに書き付けておきたい。
 学会 x 学会 ジャムセッションというタイトルで「イベント」のカテゴリー(3月24日)にお知らせしておいた会のために、4月24日、名古屋の愛知淑徳大学に行ってきた。ポピュラー音楽学会からの4人が音楽ネタで発表した「米文学会中部支部大会」は、例年よりだいぶ盛況でしたと、鵜殿えりか支部長氏は喜んでおられた。
 
 僕も1時間ほど、話す機会を与えられたので、枠を取り去ることのメリットについてお話しさせていただいた。音楽と文学を一緒にすることは、単にそれだけのことではない。人文学と社会学を混ぜる契機にもなるし、エリート文化と大衆文化をごっちゃにするなかで、文化を動かす経済のしくみも思考の射程に入ってくるだろう。メディア産業の進展によって文学研究が下火になるのでは、ほとほと勿体ない。メディアを味方に引き入れ、英語教育まで責任をもち、文学部ベースの教養教育を栄えさせてしまおうではないか──
 とまでは言わなかった。そんな偉そうに言わなくても、文学研究者が現代の優れたテクストに謙虚に向かい合うだけで、文学は音楽と混ざるしかない──ということは、現代アメリカ文学の雄トマス・ピンチョンの『V.』のテクストをメモって、お見せ(+お聞かせ)するだけで伝わる。
 アメリカ文学者でメルヴィルが専門の大和田俊之による『アメリカ音楽史』という本のことを、ここで書きたいのだが、これについては、記事を改めることにしよう。

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2011年04月12日

『表象05』表紙

デザイン by 加藤賢策(東京ピストル)
店頭に並ぶのはは四月末ごろとなります。

Click to enlarge ↓
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2011年04月02日

『表象05』目次

『表象05:ネゴシエーションとしてのアート』

文化が国家の枠組みを越え、複数のメディアによって多元的に媒介される状況のなかで、アートと社会との関係は、どのように練り直されつつあるのか。「ネゴシエーション」をキーワードに、社会的諸力とアーティストの相互交渉を見据える本特集は、現代アートの多様な担い手を取り上げながら、美術、演劇、映画、アニメ、マンガを一望する視座を提供する。


◎特集:ネゴシエーションとしてのアート

共同討議:「文化のネゴシエーションと日本――トランスメディア、トランスカルチャー、トランスネーション」
      内野儀+住友文彦+ジャクリーヌ・ベルント+アレクサンダー・ツァールテン
  (イントロダクション+司会=加治屋健司)

・松井みどり:「両面通行――グローバル化時代の国際展と日本の現代美術の受容」

・クレア・ビショップ:「敵対と関係性の美学」(星野太=訳)
・ボリス・グロイス:「生政治〔バイオポリティクス〕時代の芸術」(三本松倫代=訳)
・ハル・フォスター:「民族誌家〔エスノグラファ―〕としてのアーティスト」(石岡良治+星野太=訳)

◎投稿論文
石谷治寛:「理性の眠りは怪物を生みだすか?――インカ・ショニバレの船と布地」
冨山由紀子:「〈日常〉写真の静かな抵抗――下津隆之「沖縄島」を読む」
杉本章吾:〈美〉の共同体を越えて――岡崎京子『ヘルタースケルター』論
高村峰生:「接続された身体のメランコリー――ドン ・デリーロの『ボディ・アーティスト』におけるメディアの存在論」
高岡佑介:「労働科学者としてのエミール・クレペリン――「疲労との闘争」に見るドイツ産業社会の一断面」
杉山博昭:「脇役たちの「場なき場」――十五世紀フィレンツェの聖史劇より」
小澤京子:「適合性と怪物性――クロード=ニコラ・ルドゥーの建築構想における両極的性質について」

◎本格書評
郷原佳以:「あいだ」の換喩的な揺らめき〔オスキルム〕――岡田温司『半透明の美学』 
竹峰義和:変容する「ドイツ」の肖像――吉田寛『ヴァーグナーの「ドイツ」――超政治とナショナル・アイデンティティのゆくえ』
北野圭介「三つの瓦礫と幾人かの天使――中村秀之『瓦礫の天使たち――ベンヤミンから〈映画〉の見果てぬ夢へ』
佐藤良明:説明者の冒険――門林岳史『ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?』 
生井英考:思考の潜勢態――日高優『現代アメリカ写真を読む――デモクラシーの眺望』 
沼野充義:「遠い他者」に関わる形式を求めて――乗松亨平『リアリズムの条件――ロシア近代文学の成立と植民地表象』

発売日、定価などはこちら
posted by ys at 22:09| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月24日

学会x学会 ジャム・セッション

だめだよ、文学の先生は、狭い範囲の研究だけやっていたのでは、文学ってあらゆる知を包摂するものなんだから
──と長年訴えてきましたが、アメリカ文学会とポピュラー音楽学会との間に、こういう前向きの企画が名古屋地方で成立しました。
お呼ばれしたので、行ってアジってこようと思います。

第28回 日本アメリカ文学会中部支部大会 プログラム
                     2011年4月24日(日)10:00~17:30
              愛知淑徳大学星ヶ丘キャンパス5号館5階 55A教室
                     464-8671 愛知県名古屋市千種区星が丘23

シンポジウム(日本ポピュラー音楽学会中部地区特別例会との合同開催) 13:55-15:55
   ポピュラー音楽を通して<読む>複数のアメリカ
司会・講師 久野 陽一(愛知教育大学)
講師 長澤 唯史(椙山女学園大学)
講師 エドガー・ポープ(愛知県立大学)
講師 南田 勝也(武蔵大学)

特別講演 Thomas Pynchonとポピュラー音楽    16:15-17:15
講師 佐藤 良明
司会 長畑 明利(名古屋大学)
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『表象』05号は来月発売です。

 表象文化論学会の学会誌は『表象』といって、これは月曜社を通して市販されています。高崎にもジュンク堂できたので、散歩がてらにこういう硬派の刊行物が並んでいる棚を見てニンマリすることができるようになりました。(お客さんあまりいないけど、ピンチョンにひと棚当ててくれる書店の存在は貴重です。できるだけAmazonじゃなく、ここで買いますから留まってください。)

 さてさて、2006年に正式に発足した表象文化論学会も、この夏には6回目の大会を迎えます。今年の学会誌は私が「編集委員会」の長を仰せつかっています。といっても、実際の仕事は、二十代、三十代の超優秀な数人が動かしてるんですが。

 次号は多数の投稿論文のうち、文学・建築・写真・少女漫画などの領域から本格的な七編の論文を掲載することができました。一流の筆者が論じる長文の書評も6編。目玉は、この号のために行われた「共同討議:ネゴシエーションとしてのアート」です。
 ビジュアルのかっこよさが光っています。学問にとって気持ちいいって重要ですよね。バックナンバーはこちら
posted by ys at 20:48| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月30日

表象文化論学会は日本の人文学研究の砦です。

第5回研究発表集会プログラム

日時:11月13日(土)9:30-18:30
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階
アクセスマップ

非会員の方も当日1000円で全日参加できます。

研究発表2「現代芸術における表象とその回路」
時間 9:30-12:00
会場*コラボレーションルーム2

発表1:池野絢子さん(京都大学/日本学術振興会)「同語反復と謎──1960・70年代における形而上絵画の系譜」
発表2:藤田瑞穂さん(大阪大学)「〈アルバム〉から〈トータル・インスタレーション〉へ──イリヤ・カバコフ 「十の人物」をめぐって」
発表3:宮内裕美さん(お茶の水女子大学)「ニューヨーク・ダダにおける自己表象のポリティクス──鏡を手がかりとして」
発表4:玉井潤野さん(京都大学)「「悪」の拡散と暴力の遍在 ──ピンチョン『メイソン&ディクソン』について」

司会:佐藤良明

その他の発表とシンポジウムはここをご覧ください。
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posted by ys at 17:08| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月19日

11月27日-28日 JASPM大会

日本ポピュラー音楽学会(JASPM)の年次大会

東大→名大→成城大→京都女子大ときて、
2010年度は東京藝大の、千住にある新キャンパスで行われます。

大学院音楽文化学専攻音楽音響創造分野・芸術環境創造分野  というのですね。

ミュージックやアートと社会の係わりを、いつも生き生きと論じる毛利嘉孝さんが実行委員長
生きのいい学生さんたちと切り盛りしていきます。楽しい会になるでしょう。

詳しくは
http://jaspm22.wiki.fc2.com/

お問い合わせは jaspm22@gmail.com(担当:葛西周さん)
posted by ys at 07:38| イベント | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする